マスメディアとマス(大衆)の対立

ついに民放連が動画共有サイトでの映像無断使用に対策へ
http://gigazine.net/index.php?/news/comments/20071123_nab/

民法がついに動画配信サイトへのアップロードの取り締まりを始めような気配である.しかしながら,彼らの言い分にも一理あり,例えば,アニメやドラマなどはDVDとして売り出すといった,二次や三次使用が行われる.二次や三次使用での売り上げは,制作会社及びクリエータの収入となるため,それらについては自重すべきだろう.


しかしながら,ニュースや報道についてはその範疇に当たるのか疑問である.電波使用料というのがあるが,総務省の見込みによると2007年度は653億円の収入が見込めるそうだが,テレビ局はあわせて5%しか払っておらず,80%以上が携帯利用者,つまり国民の金でまかなわれている.これを見ると,テレビ局は非常に優遇されていることがわかるが,このような特権が認められたのは理由がある.それは,テレビ局は報道機関としての責務を負っており,結果的に国民・公共の利益になるためである.報道の自由が強く認められるのは,国民の知る権利が根底にあるからである.


ところが,現在のメディアが国民の知る権利を満たすための報道機関としてふさわしいかというと,疑問を持たざるを得ない.「発掘あるある大事典」で捏造報道が行われたとき,国家は捏造報道対策法を立案しようとした.本来ならば,国家によるメディアの規制などは,あってはならない事だと思うが,一部ではそれを求める声も少なくなく聞かれた.テレビ局は何故,国家のメディア規制を受け入れる人たちが居たのか,もう一度よく考えなければならないと思う.


話がそれたので本筋に戻すが,テレビ局が報道メディアとして存在するのならば,ニュースや報道に関してはアップロードを許可するか,自社で過去のデータを引用可能なようにすることが望まれるのではないかと思う.新聞などは,図書館に行けば過去の報道について調べることが出来るようになっており,誰でも,過去にさかのぼって,引用したいときにソースを発見できるようになっている.誰がどのような報道を行ったかを,自由に検証・批判できる,このことは決して,マスコミの大好きな「知る権利」に違反しないことだと思うが,どうだろうか.他にアップされるのが嫌なら,自分達でそのようなサービスを行うぐらい言って欲しい.捏造報道の動画を,著作権を盾に熱心に削除しまくるのは,どういう了見なのだろう.

ハイビジョン月面画像をネット公開しなかったNHK
著作権にこだわり,JAXANHK,日本国,世界のネットユーザーの四方損に
http://www.nikkeibp.co.jp/style/biz/feature/matsuura/space/071122_nhk/index.html

NHKは過去に,テレビ映像をネット配信しようとしたことがあったが,民放各社の強い反対に会い計画は頓挫してしまった.その結果がこれである.我々は,何故,民放各社はNHKのネット配信計画を潰したのか,また,その結果得られたものは何か,もう一度よく考えなければならないと思う.


と息巻いてみたが,どうやら,民放連の方は,とりあえずの処はニコニコとYouTubeではなく,中国,韓国の動画サイト相手らしい.

動画投稿サイトの権利侵害、民放連が対応策検討へ
http://www.nikkei.co.jp/news/sangyo/20071122AT1D2205I22112007.html