「注目の動画」は本当に劣化したのか

はてブの注目の動画が急速に劣化した件について
http://d.hatena.ne.jp/umeten/20080317/p1

各個人で気に入った動画をブックマークしたところ,アイマスボーカロイドの動画が「注目の動画」欄に大量に出現することになりました.これが意味することは,アイマスボーカロイドの動画の方が,他の動画より注目度が高いということであります.つまり,これまではアイマス動画等は大きな潜在的需要を持っていたのに,情報のフィルタリングというボトルネックにより表に出てこなかったのですが,ボトルネックが解消されて一気に潜在需要を満たす形で噴出したことに他なりません.これはすなわち,潜在需要を満たした,つまり効用が最大化されたことになると考えられ,劣化したのではなく,実は進化したのであることに気がつきます.

「注目の動画」急速劣化問題について
http://beta.g.hatena.ne.jp/sugio/20080318/p1

*1
これには,スレッシュホールドを変化させてアイマス動画を取り除く方法が説明されていますが,こんなのは所詮対処療法に過ぎません.今後,ソーシャルブックマークが一般化してしまって,「スピリチュアル」や「スイーツ」,「ダイエット」と言った動画が大量に「注目の動画」に出現してくるといった自体となったとき,この方法では対処のしようがありません.


さて,ではこの問題は果たして解決できるかという疑問が出てきますが,現在の「注目の動画」のようなシステムでは,システム上「注目の動画」という唯一の共有地であるため,共有資源の奪い合いが発生し,結果,アイマス動画以外をみたいというマイノリティは排除されるようになっています.しかしながら,これが集合知の限界かというようなペシミズム的な考えを捨て,別の対策案を考え出そうと思います.


ここで一旦,「何故劣化したと考える人が出てきたのか」という問題に焦点を当ててみますと,それは「自分の嗜好に沿っていない動画」が大量に「注目の動画」に出てきたためであると考えられます.すなわち,「注目の動画」の劣化問題は,個人の嗜好に沿ったレコメンドシステムを搭載した新たな「注目動画」システムを開発することにより,解決する可能性があります.この方法論としては,オライリーから出版されている「Collective Intelligence」に詳細が載っており,事例として見たければ,アマゾンを利用していくつか買い物をしてみればよいでしょう.


とまぁ,ありきたりなことを述べたのみですが,実はこの思想こそが「ロングテール」に通ずるものであり,はてなブックマークのような中途半端にWeb 2.0を適応したものを事例に上げて,ソーシャルブックマークは衆愚化すると結論づけるのは,いささか早計なような気がします.ホットエントリなどがニュースサイトとほぼ一緒になるというのは,人気のある,あるいは注目度の高いヘッドの部分だけを取り出しているという性質がある以上,それは必然なことなのであります.注目度の低いことばかり取り上げるニュースサイトは,ニュースサイトとして問題があると言わざるを得ないでしょう.

SBMの衆愚化と大衆化
http://d.hatena.ne.jp/tt_clown/20080318/p1

*1:追記: スレッシュホールドを変化させる云々というのは,対処案ではないと指摘を受けました.この部分については完全に誤読です.いずれにせよ,提案されている手法では,将来の劣化に対処できるとは思えないというのが正直な感想です.別に喧嘩を売っている訳じゃありません.すいません.