Digg村にトラブルが発生したらしい

Diggのゆくえ
http://sourceforge.jp/magazine/08/10/13/1118206


Diggフロントページや,はてなホッテントリなどは共有資源な訳で,テレビ局が共有資源を独占して偏った情報を垂れ流してるのと変わらないわけです.ですから,もしも今後,はてなブックマークが急拡大していったら,ホットエントリは,スイーツ(笑)な情報で埋め尽くされるであろう事は容易に想像できます.とすると,問題は,共有資源の奪い合いが発生するような,Diggはてなホッテントリというシステムにあると考えられます.仮想的な空間を幾らでもつくれるのだから,それを活用すればよいのではないかと思います.

実のところ私は、メディアが民主的であればあるほど、ある種の情報操作に脆弱なのではないかと考えている。「群衆の叡智」と言ったところで、実情はごく少数の意見がストレートに大きく投影された影絵のようなものでしかない可能性があるわけだ。むしろ、なまじ「『みんなの意見』は案外正しい」などと素直に思い込んでいると、誰かの仕込みに容易にひっかかってしまいそうである。


民主的なメディアであるほど,情報操作に対して脆弱かと言われるといささか疑問です.例えば,現在広まっているマスメディアから発信された情報のうち,どれだけかバイアスのないモノなのでしょうか.マスメディアはバイアスがかかっているものであると,みんな知っています.これはメディアリテラシーの向上により,常識と化した事実であるわけですが,この常識があるからこそ,極端にバイアスのあるマスメディアの情報もきちんと咀嚼し飲み込むことが出来るわけです.


かの有名な人物は言いました「うそはうそであると見抜けない人には(掲示板を使うのは)難しい」と.ソーシャルブックマークもまさにそうで,その情報源の多くは,特定人物・団体から発せられたものであると,認識しておく必要があるかも知れません.


ところで,Diggの調査を行った論文を以前に紹介しましたが,

Analysis of Social Voting Patterns on Diggを読んだメモ
http://d.hatena.ne.jp/ytakano/20080824

この論文には,おもいっきり

人気ユーザが投稿したニュースは,他の人が投稿したニュースと比較してDiggフロントページに載る確率は高いが,他のフロントページに載っているニュースと比較してつまらない

と書いてあります.ざっくり言うと,この論文では,ユーザ間の繋がりにより広まったニュースは,くだらないニュースが多いので,そう言うのをフィルタしてやればいいと述べています.

Digg村にトラブル発生
http://jp.techcrunch.com/archives/troubles-in-diggville/

では,Diggの中の人にアドバイスをしたそうですが,

投票が元記事を閲覧中のユーザーから来た場合には、元記事へのリンクを直接クリックした場合に比べて、より大きなウェイトを与えるようにする、というものだ。ユーザーは記事を友人に勧めるのにメールかIMでリンクを送ることが多いので、リンクから来た投票はグループ行動によるものの可能性が高い。逆に、元記事ページから来た投票は、実際にそのページを読んで、重要な記事だと判断したユーザーからのものである可能性が高いわけである。

はまさに,上記論文で言っていたフィルタそのものだなぁと思ったわけです.


協調フィルタに関する攻撃は結構あるっぽく,攻撃に関しては,

  • B. Mobasher, R. Burke, C. Williams, andR. Bhaumik. "Analysis and detection of segment-focused attacks against collaborativerecommendation", 2006.

などが参考になりそうです.攻撃に必要なことは,たくさんのアイテムにレーティングを行うことのようです.


あとは,下記書物などを読めば,如何に人が他人の意見によって(たとえそれが,高々数パーセントの人の意見であっても)動かされるかがわかるでしょう.そう,実は民主的なメディアとかそうのとかは関係なく,情報操作はあるのです.というかむしろ,まだ,探せば他のニュースも見つかるという意味では,民主的なメディアの方が,情報操作に強いかもしれないとも思ったりもします.大本営発表をそのまま信じるなんて,狂気の沙汰としか思えません.コントロールされた情報しか流さないメディアより,多少偏りはあっても,多様性のある民主的なメディアの方が僕は居心地がよいです.

プロパガンダ教本

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影響力の武器[第二版]―なぜ、人は動かされるのか

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