権利者はCGMなど望んでいない

このようなやくざな連中を相手にするには、やはり既存の権利組織に依存しないシステムを構築しなければならない。“みっくみく”がJASRACの手に落ちてしまったのは、その悲しき実例。クリプトンの伊藤さんが、

CGMの「入り口」として「ピアプロ」サイトを構築してますが、どうやら「出口」もしっかり用意せねばならない気がしてきました。」

と述べたのは重要な示唆を含んでいる。
http://d.hatena.ne.jp/umikaji/20071219/1198074318

いわゆるCGMパブリックドメインのコンテンツは,既存の利権屋の敵対ビジネスとなりうるので,このような未来を描くことは,権利者にとってみれば「何が何でも潰そう」という強い動機付けになり得ます.特に,権利者側や文化庁の言う適法サイトマークなどは,実際の運用は置いておいて,自分たちの利権を守る側からすれば,願ったりかなったりの制度です.なぜなら,大手を振って,俺が正義であると暴力を振るえますからね,RIAAのように.


ダウンロードの違法化の問題点として,弁護士や訴訟費用が挙げられます.この点については,レッシグも言っていることと似ていますが,ダウンロード違法化が施行され,いざ実運用され訴訟が起きたときに被告となるのは,大企業のコンテンツホルダーよりはるかに所得の少ない一般人となります.こういう一般人は,十分な訴訟費用を持っていないため,泣き寝入りをするか,実際に戦うしかないわけです.しかしながら,コンテンツホルダーは優秀なお抱え弁護士を用いて裁判に挑むわけですから,被告側は圧倒的に不利となります.これだけですめばまだ良い方で,訴訟に決着が付くと言うことは判例が出来ることになります.すなわち,圧倒的資金を持つ権利者が,金に物を言わせて,無理矢理訴訟に持ち込み判例を作ってしまうことが可能なわけです.


一方的に金に物を言わせて判例をつくれてしまう人物・団体が存在すること,すなわち法解釈をあとでねじ曲げることが出来る人物・団体が居ると言うことは,立法前によく考えなければいけないのではないでしょうか.権利者と消費者が対等という前提で話が進んでいるように思えますが,いざ司法の場となると,圧倒的に消費者が不利であるということを立法者は自覚しておかなければいけないと思います.


こんなか弱い消費者ですが,出来ることもあります.

  • 今後CD,DVDは買わない
  • TVは見ない
  • CD, DVDは買わないと言うことを宣言し周りに勧める
  • 選挙ではダウンロード違法化に反対する党・議員に投票する

です.

政治家へのロビー活動も開始されるそうです.

ロビーの準備への協力のお願い
http://benli.cocolog-nifty.com/benli/2007/12/post_4a7f.html


下記文章は,非常に多くの示唆を含んでいます.この内容については,各個論破できそうな物が多そうですが,権利者と戦うつもりならばこれぐらいの内容については反論できるようにしておかないと,この戦いで勝てる見込みは薄いでしょう.

「権利者」を見ようとしない消費者 ―「ダウンロード違法化」問題について
http://d.hatena.ne.jp/thir/20071219/1198072206

なんか,始めに書こうと思っていたことと大きくずれていってしまいましたが,要するに,反論するには,こういう未来があるという提示よりも,こういう害があると提示する方が説得しやすいということです.